こんにちは、長谷川です。
2021秋冬WISM×KUONの別注アイテムが9月4日(土)に発売されます。
発売に先立ち、WISMコンセプターの堀家氏をモデルに迎えた撮影を行ってきました。その際、堀家さんとKUONデザイナー石橋に、今回の別注に対する思いや、アイテムについて聞かせてもらいました。今回のブログも対談形式でお届けします。
対談内容
1.FANAGE COTTON Utility Jacketについて
2.WISM別注Utility Jacketについて
3.FANAGE COTTON Utility Jacketからの変更点
4.別注アイテムのこだわりポイント
5.堀家氏とKUONの関係
1. FANAGE COTTON Utility Jacket
長谷川(以下、長):堀家さん、本日はお忙しい中ありがとうございます。お二方揃っていらっしゃるので、今回の別注についてお話を聞かせてください。
堀家さん(以下、堀)&石橋さん(以下、石):よろしくお願いします。
長:では、早速アイテムの紹介をお願いします。
石:じゃあ、僕から。これはKUONの21秋冬コレクションで、『ユーティリティJKT』という名前で展開している形で、フィッシングJKTとかのディテールを参考にしてます。
FANAGE COTTON Utility Jacket(KUON 2021秋冬コレクションより)
石:肩とかポケットはメインで使っている生地とは異なるもので切り替えています。ガチャガチャしているんだけど、スッとまとまったアイテムを作りたいな…っていうところからスタートしました。
サイドの裾部分にファスナーを付けていて、上げ下げすることでシルエットを変えられたり、開けたときには空気を取り入れられたり…そういうところも考えながらデザインしました。
KUONの21秋冬コレクションでは、茶・青・灰をテーマカラーにしているですが、その中から茶と青の2色で展開しています。メインの生地はFANAGE COTTONと呼んでいるしっかりしたコットンで、切替部分はポリエステル生地を使用してます。
長:ありがとうございます。これ後ろにも大きなポケットついてるんですよねー。
石:そうです。ハンティングジャケットとかフィッシングジャケットによくあるディテールなんですけど、大き目の荷物まで入れられるのでバッグを持たなくても出かけられます。
長:バッグ持たないで出かけられるのは惹かれますね。
2. WISM別注Utility Jacket
長:では、堀家さん。このジャケットのどんな点に惹かれたんですか?
堀:はい。よろしくお願いします。今、石橋さんから『フィッシングジャケット』ってあったんですけど、僕が展示会で(何も知らない状態で)最初にパッと見たときは、モーターサイクルっぽい感じに見えたんですよね。ポケットがいっぱいあって、なんと言うか…強く見えたんですよ。洋服として『バーン』っと強く目に入ってきたんですよ。
このカッコよくて、ポケットがいっぱい付いた機能的で便利なものをどういう風に…ストリートって言い方は違うかもしれないっすけど、自分たちが着たいもの・WISMらしいものに落とし込めるか、っていうところ。そこを最初にポイントとして考えました。
とにかく展示会ですごく目立って見えたんですよね。だから後ろにポケットがついてるとか横にジップがついてるとか…いま初めて知った(笑)
長:今ですか?(笑)
堀:展示会の時なんか全然気付かなったからね(笑) ハンギングされてる状態で『すごく良いっすね!』って感じです。
長:(笑)シンプルにこのジャケットの表情に惹かれたんですね。
堀:そう、この表情がよかった。めちゃくちゃカッコいい…けど、同時に『僕らとしてはちょっと強いかな』とも思った。そのときに、このカッコよさを保ったままどうやって普段着までもっていけるか、それをすごく考えて出来上がったのがこれですね。
3. FANAGE COTTON Utility Jacketからの変更点
長:では、KUONのコレクションラインのアイテムとは違う部分やこのアイテムができるまでの裏話があれば教えてください。
石:まず、形はKUONのインラインと同じ形で、というところと…堀家さんがさっき話してくれましたけど、どれだけ普段着やすいかとか、飛行機に乗った時のこととか考えて…
堀:そう!!
石:楽だけどカッコよくて、モノがいっぱい入って、シワになりにくいとか…そういうのがあると良いよねって、お題をいただきました。それで最初に生地を何点か堀家さんに提案させてもらったんですよ。色は黒って決めてましたよね?
堀:そうですね。でさ、ここ(右下のポケット外側)とか絶対開けないじゃん。だからここに家の鍵入れてれば絶対なくさない!!それが第一条件(笑)すぐ思った。
石:無くしがちな鍵をね(笑)
堀:これはいけるぞ!って(笑)
石:そう(笑)それで、シャカシャカ素材というかナイロンとかポリエステルのシワにもなりにくくて、耐久性もあって、軽い生地を何枚か提案させてもらった。ですけど…『こっちの方が良さそう…か?』っていう(ピンときていない)反応だったんで、トワルを作りました。形にしてみないと判断が難しいかな?というところで。
長:はい。確かに生地だけじゃ分からないですよね。
石:で、堀家さんが気になってた生地を使ってトワルを作ったんですよ。右身頃と左身頃をそれぞれ別の生地で。
長:これ、右と左で違う素材なんすね。あー確かに触るとわかります。
石:ちょっと薄いけどハリがあるものと、シャカシャカな感じ。で、強度が必要な所はウールっぽい強撚のもの使ってます。これを見せたときのミーティングで、これ(製品に採用された生地)でいこうって話になったんですけど…黒って色々な黒があるんで、別生地との組み合わせとか素材感のバランスとか、そこら辺の想像が難しいから、もう一回トワル組んで決めようってなったんですよ。結局生地スワッチ(10cm四方程度か、それより小さい見本)だと判断が難しいじゃないですか。実はその前まではリリース時期とか考えて、秋冬っぽい生地の方が良いねってなってたんですよね?
堀:そう。
石:けど、秋冬って言っても今はインナーにボアとか暖かいもの着ることが多いから、その上からバサッて羽織れる方が良いんじゃない?ってなって。そうこうしてると、『これ(採用した生地)だと一年中着れんじゃん!』ってなってシャカシャカの方にしました。撥水の生地なんで、それなりに雨にも対応出来るし、水洗いも出来てケアも簡単なところもいいねってことで。
長:ありがとうございます。左右異なる素材でトワルを作っていたり石橋さんのものづくりへの想いがすごく伝わります。
4.こだわりポイント
長:アイテムについて聞いてきましたが、その他こだわりなどがあれば教えてください。
堀:そうねー、こだわりというか、このアイテムってどこのジャンルにも属してないんだよね。フィッシングっぽいとか、何々っぽいとかじゃなくて、ちゃんとモノとしてKUONになってる。それが僕としては一番嬉しいなーってところかな。古着を含めて元ネタが見えやすいものに対して、『このアイテムの元ネタなんですか?』って聞かれたときに、『いや元ネタっていうかKUONなんだけど』って言えるアイテムなのが一番良いのかなって。
石:堀家さん、流石です。今季はテーマカラーがあったからコレクションでは作らなかったけど、これ黒あったらめちゃくちゃかっこよくない?って個人的に思ってた。それを堀家さんが言ってくれたことで、作りたかったものを作れたし、方向性も一緒に話しながら決められたのでよかったです。
堀:前回の春夏の別注は、どちらかというと『僕が最初に見たKUON』っていうところのイメージからだったんですけど、今回は『新しいKUON』って言ったら変ですけど、海外に出て色々な人達にちゃんと認められてる今のKUONっていうイメージがありますね。そっちの『新しいKUON』の方向で何かやらせてもらいたいっていう思いがありましたね。
石:そうですよね。今までは『ヴィンテージの何か』とかやってましたけど今回作ってないですもんね。
堀:そうなんですよ。言ってなかったんですけど、自分の中で2021年のKUONとの取り組みの裏テーマとして、2部編成で、『前編:今までのKUON』と『後編:今のKUON』みたいな感じのストーリーがありましたね。
長:アイテムを見ただけでは伝わらない深い部分までありがとうございます。
*前編『今までのKUON』に関してはこちらの動画をご覧ください。
5.堀家氏とKUONの関係
長:最後に個人的なところなんですが、堀家さんとKUONの関係が気になります。私がKUONに入った時には既にとても親しい仲に見えたので。
堀:えーと、元々は藤原さんと知り合いで。藤原さんがブランドを始めるって聞いて、どんな感じになるのかなと思ってたら、『バーン』と石橋さんを紹介されて、おーそうかそうかってね(笑)今では直営店があって海外でも評価されていますが、その当時はやっぱりまだ見えてない部分が多くて。そういう意味ではKUONとの繋がりっていうのは、最初に立ち上げた二人と色んな話をして出来ていったのかなって思います。結局、『為人(ひととなり)』っていう部分で通じ合ってるんじゃないですか。
『KUONってどうなんですか?』って聞かれると『おしゃれなブランドなんじゃないんですか。』ぐらいなんですよ。けど、『石橋さん、藤原さんってどういう人ですか?』って聞かれたらそこに対してはものすごく色んな話が出来るんですよね。
堀:だから、友達ではないんですけど…雑な言い方をすると『作ってもらいたいモノを作ってくれる人たち』っていうか『お題を投げた時に必ずお題以上のモノを作ってくれる人たち』ってイメージ。
好きな人に好きなモノを作ってもらう、好きな人が作るものだからそれで良い、って思えるのは結構究極な気がしていて…そういうことが今後求められてくるのかなって思ってますね。
長:最初のシーズンから(お付き合いがある)ってことですか?
石:そうそう。WISMさんは一番最初のシーズンでPOP UPやりましたもんね。
堀:『うーん、すげー高いなー』みたいな(笑)二人が超真面目に一生懸命に商品説明してくれるんだけどさ、『もうわかったよー』みたいな。(笑)
石:(ファーストコレクションは安いもので)5万円で、その上(の価格帯)は30万円とかだったからね(笑)
堀:そうそう。だから、今のアイテムを見るとすごく安く感じるのよ。
長:一番最初のPOP UPがWISMさんってことですか?
石:そうそう。そのときにART COMES FIRSTのデザイナーさんが買ってくださったり…WISMさんのお客様すごい人多くて。
堀:そうだったそうだった。
長:色々聞けて楽しかったです。お忙しいところありがとうございました。
最後までありがとうございました。
WISM別注ユーティリティJKTは、WISMのオンラインストアならびにWISM各店舗で9月4日(土)に発売されます。
是非この機会にお試しください。