Inheritance of the culture of “Dyeing” by “Wearing”

『染める』という文化、『着る』という継承

こんにちは、長谷川です。

4月26日(土)、KUON style labより、新たな取り組みとして「天然染めシリーズ」が発売となります。
本シリーズで用いるのは、藍染め・泥染め・墨染め——いずれも、KUONにとって刺し子・裂き織り・襤褸と並ぶほど大切にしてきた、日本の伝統技法です。

「染める」という行為は、色をつけること以上に、自然との対話であり、時間と手の痕跡を刻むこと。
一枚一枚に、職人の息づかいと、土地の記憶が宿っています。

自然をまとう。KUONの天然染めシリーズ

染めのちがいが語る、三つの表情

今回ご用意したのは、藍染め・泥染め・墨染め、三種類の開襟シャツ。
いずれも天然染料を用い、職人の手仕事によって丁寧に染め上げられていますが、色の深み、質感、経年変化の仕方はそれぞれ異なります。

  • 藍染めは、澄んだ空気のように清らかで、重ねるたびに奥行きを増す「日本の青」。

  • 泥染めは、大地の力を感じさせるような、温かく包み込むようなブラウン。

  • 墨染めは、静寂を纏うようなグレイッシュブラック。

自然の色は、どこか儚く、それでいて力強い。
そのまま着るのはもちろん、洗いを重ね、陽にあてていくことで、あなたの暮らしに馴染んでゆく「育てるシャツ」でもあります。

日本の青-藍染め

日本の伝統色であり、私たち日本人のDNAに深く刻まれている「藍色」。KUONの藍染めは、単に「青い」という一言では語り尽くせない、奥深い魅力を持っています。

KUONの藍染は、インド藍を原料に奄美大島で染色されております。
インド藍はマメ科の植物から抽出された、染色液を使用して染色されるのですが、いくつかある藍染の原料の中でも色素の保有量が1番多い藍染です。

奄美大島の亜熱帯の気候では、インド藍の原料となるマメ科の植物が育つのに適した気候です。また、マメ科の植物だと豆が自然と地に落ちて、そこから芽が出てホントに良く育つ、エコな植物が原料となっています。

藍染めの魅力

所々ある色ムラやグラデーション。着用を繰り返すことで馴染んでくる表情。洗濯を繰り返すことで変化する表情。太陽によって焼けた何とも言えない表情。そして、アタリも出てきたり...唯一無二のモノへ育てていける楽しさ。男心をくすぐりますね。

何年も着用している私の1着。色も抜けて日に焼けて。オリジナルワンな表情。さらに穴が空いり破けたりするまで大事に着用したい1着です。

さらに、天然の藍染には生地を丈夫にする効能や、消臭効果、武士の時代では止血の作用から鎧の下に藍染のモノを身につけていたり。機能美を備えております。

丈夫な藍染めなので、穴が空くまで着用するには時間がかかりそうですね。

奄美の大地をまとう-泥染め-

泥染め

KUONのアイテムの中でもひときわ温もりを感じることの出来る『泥染め』
泥染め...その響きからは想像もつかないような、人々の手仕事の工程を経て、染色されます。

泥染めは、奄美大島特有の染色技法です。島内に自生する車輪梅(テーチ木)を煮だした染料につけたあとに、泥田に浸していくという工程で染色していきます。

これは、単なる染色ではありません。テーチ木に含まれる『タンニン色素』と、奄美大島の泥に眠る鉄分が化学反応を起こすことで染まる、自然界にある化学によって染まります。

染色するまでには、テーチ木染めを20回ほどした後に、泥田に持っていき泥染めをする。この工程を3回も繰り返す非常に手間と時間と体力を使う染色技法です。

泥染め

テーチ木をかごに入れる

テーチ木

テーチ木の入ったかごを窯に入れて染料を煮だしていきます

泥染め

テーチ木から煮出た染料へ1点1点手作業で染色

泥染め

テーチ木染めしたのちに泥田に浸す。

ご紹介したのは工程の一部。他にも染料を落としたり乾かしたりなどなど。またほとんどの作業が手作業の上に、山道の移動はとても体力を使います。

手間ひまあっての、泥染め特有な奥深い美しさ、複雑な表情が生まれます。
皆さまの手に届くまでにたくさんの工程を経て生まれた1着は特別なものになるはずです。

また、藍染め同様に天然染めならではの経年の変化も楽しめます。
こちらで、泥染めの経年変化についてご紹介しているので、興味のある方は是非読んでみてください。

緊張感のある黒-墨染め-

墨染め

KUONの黒と言ったらコレ。
『墨』は日本では昔から文字を綴ったり、想いを形にするためのツールとして使用されていました。日本の文化的な背景を持つ墨の美しさ。それを現代のァッションに写す。その対比もKUONらしくて、KUONの黒と言えば私の中では墨染めです。

また、国内だけではなく海外の方々から愛されるKUONの墨染め。

背景は静岡にある小さな工房からです。

墨染めの原料は、松を燃やして出来る松煙を使用しております。松煙は繊細かつ粗いなんとも言えない黒を作り出します。

墨染め

小さな窯へ1枚1枚漬け込んで、洗って、を繰り返して色をのせていきます。

墨染め

何度も窯に漬け込んで、力強い黒になるまで漬け込んだら干していきます。自然光にあたることでより味わい深い黒に。

世界の方々から愛される墨染めの工房が、実家のお庭のようなところで染色されているのも愛らしいですよね。

墨染めの経年変化についても、こちらに記載があるのでよかったら読んでみて下さい。

藍染め・泥染め・墨染め。

KUONが大切にしてきた、日本の手仕事。
その美しさと自由さを、KUON style labのフィルターを通して、今の空気感に馴染む一着に落とし込みました。

自然をまとうこと。伝統を着こなすこと。
その豊かさを、ぜひ店頭で体感してみてください。

 
[KUON style lab]
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