こんにちは、長谷川です。
今回は、創業初期から今シーズンに至るまでKUONのクリエイションを支えてくださっている、KUONにとって、なくてはならない辻村染織さんについてご紹介します。
辻村染織さんには、KUONの生地制作にご協力いただいており、お客様の中にも辻村染織さんの生地を使用したアイテムのファンが多く居ます。
ちなみに今シーズンは、
Aizome Slub Regular Collar Shirtや
Aizome Oxford NoragiやAizome Kasuri Noragiの生地を辻村染織さんに制作していただきました。これだけでも、辻村さんの藍染生地の奥深さや色とりどりな表情を感じますね。
それでは、辻村染織さんについてご紹介していきます。
辻村染織
辻村染織は、静岡県浜松市いわゆる遠州地方に位置する、創業150年以上の歴史をもつ老舗工房です。浜松市のある静岡県の西部は、綿花を栽培するのに適した気候ゆえに昔から高い技術を持った職人さんが育つ地域で、今でも日本有数の綿織物産地として知られています。
染色ではなく染織
辻村さんは、染織の字の通り、糸を藍染めするところから織って生地にしていくまでを一貫して行う工房です。手間ひまかけて丁寧に織り上げられている工程の一部をご紹介していきます。
まずは、綛染めには必須の工程、綛上げ。糸を藍染めする際、絞りやすく糸がバラバラにならないようにする作業です。
次に、綛上げした糸を煮て油分や蝋を取り除いて精錬していきます。染色に入る前にも、綺麗に仕上がるようにひと手間ふた手間かけているんですね。
そしていよいよ染色。
精錬された糸が1本1本綺麗に染まるように、藍染め瓶につけていきます。
奥行のある綺麗な藍染めの秘密は、数種類の藍瓶。薄い藍瓶から濃い藍瓶まで用意してあって、精錬された白い糸を薄い藍瓶から濃い藍瓶と順々に染めていきます。
とても手間と体力のいる作業ですが、いきなり濃い藍染め瓶で染色するよりも、順々に濃度を上げて染色した方が、綺麗で良い色に染まるそうです。染色ひとつを見ても、職人さんの真面目さや研究熱心さを感じることが出来ます。
求める藍色になるまで染色を繰り返した後は、糸の強度や滑りをよくするために糊や油をつけて、上の写真の様に糸を干していきます。
簡単に書きましたが、藍染めは気温、湿度そして染液の状態によって染め上がりが異なります。求める色に染め上げるには圧倒的な経験値が必要です。
そして、このあとは糸を織って生地にしていく工程です。
糸から生地へ
まずは織るための準備から。乾燥した糸を巻き取って、チーズと呼ばれるひとかたまりの状態にしていきます。
針金のようなカナと呼ばれる部分に糸をかけていくのですが、丈夫な藍染め糸とはいえ、湿気を吸うと切れやすく、また滑りが悪くなるので、切れないように慎重に巻いていきます。
余談ですが、写真の手前と奥のチーズでは藍染の濃度が異なりますね。
チーズになった糸を、織機にセットするためにビームと呼ばれる巨大なロールへ巻き取ったら、やっと織機の登場です。
ビームに巻かれた経糸をドロッパー、ワイヤーヘルドそして筬という織機のパーツに通していきます。
なんと、1本1本手作業です、、、織る生地にもよりますが何百本何千本の糸を手作業で通すという気の遠くなる作業。
糸を通し終えたら、やっと本格的な『織り』の工程です。
濃淡ついた藍染め糸だったり、白糸を加えたり、様々な工夫を凝らした生地が織り上がっていきます。
150年以上続く辻村染織さんの伝統と新たなモノを作り出す探求心によって、古き良き藍染の風合いをもった生地のみならず、革新的な藍染生地が生まれます。
試行錯誤を繰り返して生まれる辻村染織さんの藍染め生地には、手仕事ならではの温もりと新しいものを見た時のワクワク感が共存していて、毎シーズン本当に楽しみです。
ちなみに今シーズンの藍染めスラブ生地は、濃淡ある藍染め糸と異なる太さの糸を使用して織られているので、刺し子織りのように生地に凹凸がある不思議な肌触りの生地です。
触るとふっくらと厚みを感じるのですが、着てみると軽い。そして表面に凹凸があるので肌にふれる面積が少なく、汗ばむこれからの季節もサラッと快適に過ごせます。
見た目も色とりどり、肌触りもさまざま。ぜひ一度辻村染織さんの藍染め生地をお試しください。
いつか、皆様と一緒に工房ツアーに行けたらなぁ。
辻村染織さんの生地を使用した今季の商品はこちら。
Aizome Slub Regular Collar Shirt