こんにちは、長谷川です。
「ハレとケ」の概念が今季のシーズンテーマと先週のブログでお伝えしました。今回は、ルックでも一段と目を引く独特な柄、「ハレ」を象徴する縁日のヨーヨーすくいが頭に浮かんでくるような、墨流し染めについてご紹介します。
墨流し
墨流しとは、日本の伝統的な染色・転写技法で、水槽に張った水に墨汁を垂らし、自在に広がった形をそのまま紙・布に写し取って描く模様、またその模様が写し取られた紙や布の事です。職人たちが改良を加え、友禅の技法のひとつとして確立されました。
時空が歪んでいるかのような力強さ、風にゆらゆらと揺れる草木やさざ波の様な緩やかさを感じることが出来る不思議な墨流しの模様。
どういった歴史があって誕生したのか?まずは、墨流しの歴史からご紹介します。
墨流しの歴史
諸説ありますが、墨流しの誕生は、今から約1000年前の平安時代と言われています。
王朝貴族が川の水面に墨を落とし、川の流れで作られる模様の変化を楽しみ遊んでいたそうで、この遊びが墨流し染めの起源だと言われています。もっと言うと、たまたま川に墨を落としてしまったところ、川の流れで模様が変化することに気が付いたのが、この遊びのはじまりとも言われています。
この遊びがやがて変化し、たらいや水槽に墨を落として、その模様を紙に写し取るようになったそうです。
今もなお受け継がれる国風文化の美意識は、日々の生活の中にある、何気ない『美しさ』を発見することの出来る心の豊かさがあったからこそ生まれたのかもしれません。
墨流し。。。ロマンチックです。
ちなみに、似たような技法ではトルコのEbru(マーブリング)と呼ばれるものがあります。厳密に言うと墨流しとは異なるようですが、遠く離れた地でも似た伝統技法があることが面白いですね。
それでは、KUONの墨流しについて見ていきましょう。
墨流し制作風景
水槽に水を張って、油分や汚れを取り除いた水へ染料を垂らしていきます。
油を含んだ染料は水に浮かびます。更に染料同士も染まり合うことがなく、色ごとの空間を譲り合っているかのようです。
風を送ったり、棒で水面を動かしたり、水や染料の動きを熟知した職人さんによって模様が描かれていきます。
生地にたるみが出来ないように、慎重に水面に浸していきます。
水面にイメージ通りの模様が出来ても、生地にイメージ通りの模様を写すチャンスは1度きり、慎重になります。
模様が写ったら生地をゆっくりと引き上げていきます。
まだまだ細かな工程はありますが、大まかに書かせていただきました。
流動する模様に生じる濃淡。
毎回異なる墨流しの模様は、職人技が光る一期一会なアートワークです。
墨流しの技法を使ったKUONの商品
今シーズンは、多様な色を使用した現代的なMultiと、墨汁を使った墨流しを彷彿とさせる伝統的なCharcoalの2色展開。
工程を見ていただければお判りいただけるように、墨流しには同じ柄が2つとして存在しません。
上の写真は、Sashiko Suminagashi Cropped BlousonのMultiカラーですが、模様も全然違うし、濃淡も異なります。同じ職人さんが、同じ染料を使い、同じ水槽で、同じ日に、同じ生地に染めてもこれだけ違います。
職人さんの緻密な技術と自然の作り出すアートを身に纏うなんて、本当に贅沢な喜びを与えてくれますよね?
ちなみに、今見ていただいた生地は創業150年以上続く老舗工房の熟練の職人さんが織り上げた刺し子織り。『伝統工芸×伝統工芸』これまた贅沢の極みです。
現在店頭に並んでいるのは刺し子生地のみですが、そのほかにも続々入荷予定です。
Suminagashi Camp Collar Shirt
Color: Multi, Charcoal
Suminagashi Tee
Color: White/Multi, Sax/Multi , White/Gray
Suminagashi Pocket Tee
Color: White, Yellow, Black
刺し子生地、シャツ生地、カットソー生地。それぞれの生地によって、色の乗り方が変わる墨流し。見比べるだけでも面白いです。
職人さんが1点1点染め上げた商品のほかに、墨流しの生地をデジタルプリントした商品も展開しています。伝統技術のすばらしさを、美しさをより多くの人に感じていただければ嬉しいです。
あなたはどんな墨流しに出会えるか?一期一会をお楽しみください。
新入荷のお知らせ
最後になりましたが、2024年春夏コレクションの第2弾が、2月3日(土)正午に発売されます。※オンラインストアは午後8時予定
まだまだ寒いですが、春夏らしいアイテムが続々入荷しますので、ぜひチェックしてください。
最後までありがとうございました。
本日ご紹介したアイテムはこちら。