この日のために、岩手県大槌町から遥々大槌刺し子の佐々木さんとかおりさんのおふたりが足を運んでくれての開催です。しかも、参加者の定員は6名...贅沢ですね。
ワークショップでは、
大槌町とはどんなところ?から始まって、大槌刺し子の始まり・KUONとの繋がりなどのお話を聞いてから、針と糸をもって『チクチク』していきます。
今回はワークショップにご参加いただけなかった方にも、KUONとの長い付き合いのある大槌刺し子さんのことが少しでも伝わればと思い、ワークショップの様子をお届けします。
大槌町ってどんなとこ?
岩手県の沿岸部にある大槌町は海と山に囲まれた、海の幸、山の幸が美味しい自然豊かな町。
『野生の鹿が町にたくさんいる』とか『熊が町に出たときはアナウンスが流れる』とか、本当に自然が豊か。
また、若者が少なくて高齢者が多い町なので、大槌町の夜7時は真夜中。
あと、マクドナルドもないので、ハンバーガーを食べたくなったら、電車に乗って隣町までモスバーガーに行くそうです。
だからなのか、前日に前乗りしていた佐々木さんとかおりさんは、東京の人の多さに疲れてホテルで休んでいたみたい。(二泊三日で来てくれてたので、ワークショップ後に、東京観光してくれてたら嬉しいです。)
更に、NHKの人形劇『ひょっこりひょうたん島』の舞台となった『蓬莱島』があるのも大槌町。
ひょうたん島は実在したんですね。
このように、豊かな自然に囲まれた大槌町で、KUONのシグネチャージャケットの襤褸をはじめ、手刺し子のアイテムは縫われております。
Signature 襤褸ジャケット
大槌刺し子との出会い
自然豊かな大槌町は、海岸に面した漁業が盛んな港町。
今から12年前の、東日本大震災で起きた津波による被害が大きかった町のひとつです。
震災前、震災後、今。3枚の写真を見せていただきました。
避難生活を送る女性たちに、針仕事を通じて、生きる喜びや希望を見つけて欲しい。そんな想いから、震災のあった年の5月に避難所から『大槌復興刺し子プロジェクト』は、始まりました。
初めに震災前、震災後の写真を見たときは、被害の大きさから悲しくて、怖い気持ちになりましたが、避難所で刺し子をしている女性の写真からは、夢中になってチクチクしているのが、伝わってきます。
そんな、大槌刺し子さんとのお付き合いは、KUONがスタートして、最初のサンプルを依頼してから始まりました。(以前から、代表の藤原は大槌刺し子さんとの関係を築いていました。詳細はこちらから。)
ブランドの立ち上がりから一緒にモノつくりが始まって今も続いている。
KUONのクリエイションに無くてはならない存在です。
それでは、前置きはこの辺に、ワークショップの様子を見ていきましょう。
パッチワークラグの作成
先ずは、今回のワークショップで制作するラグ。
※大槌刺し子の刺し子さんが制作したお手本。
ご参加いただいた方たちには、約1時間半という限られた時間の中でパッチワークラグを制作していただきます。
最初に土台になる布選び。
土台の布は、アイボリー、グレー、ネイビーの3色。
刺し子さんのお手本を参考にしながら、皆さま好きな色を選んでいきます。
土台の布を選んだら次は
土台の布にチクチクパッチワークする生地の端切れと糸の色を選んでいきます。
端切れはもちろんですが、糸の色も完成したときの見え方にかなり影響してくるので、皆さま慎重に選んでいきます。
そろそろ針と糸を手にもって、チクチクしていきたいところですが、もう少し。
土台の布に、選んだ端切れを思い思いの位置にテープで固定していきます。
『完成が楽しみですね~』などワイワイお話をしております。
(皆さまこの時はまだ、手刺し子の大変さを知りません(笑))
手刺し子用の刺し子針に刺し子用の糸を通して、玉止めをしたらチクチク開始。
この辺りから、スムーズに刺し子針に糸を通せる方、通せない方。
玉止めがうまくいく方、いかない方。
手先の器用さが出てきて、2人の先生が忙しくなってきます。
ここから波縫いで、好みな糸の間隔でチクチクしていきます。
好みな糸の間隔と言っても、刺し子針は普通の針よりも長くて太いので扱いが難しいです。
針と糸をもってチクチクが始まったら、皆さま自分の世界に入って夢中です。
皆さま夢中なので、私が横から話しかけても返事をしてくれない...
これはもう、ワークショップの恒例ですね(笑)
そして、夢中になってチクチクしていって、完成したのがこちら。
(↑刺し子針を買って、家で夢中にチクチクした顧客様から送っていただきました。狂気を感じる...(笑))
針を持つ人によって、異なる糸の間隔など...人の手だからこその、味があります。
ワークショップに参加した多くの方が、『帰りに刺し子針を買って帰って続きをやります。』とか『やってみると全然進まないですね』とか。中には『大槌刺し子にスカウトされるように練習します』と言っていた方もいます。(本当に家でチクチク刺し子を追加された写真が私に送られてきました。)
皆さまが楽しそうで、我慢できませんでした。私もワークショップに途中参加。
下の針がどこから出てくるかわからないし、1枚の生地を縫い付けるだけでもかなり時間がかかって難しかったけど、刺し子は楽しいし、本当に夢中に真剣になってしまいます。
最後に、顧客様がたまたま着てきた、襤褸刺し子ジャケットのほつれを見つけた大槌刺し子の佐々木さん。
みんなの前でライブ刺し子をして修繕してくれました。
参加者の皆さまから、『おーーー』って声が上がるほどのスピードでチクチク針が入っていってあっという間に修繕が完了しました。
本当に早かった。
私のが『チ....ク...チ....ク...』なのに対して、
佐々木さんのは 『チックッチックッチックッチックッ♪』とてもリズミカルでずっと見ていられそう...
襤褸刺し子ジャケットを長年着てくれている、顧客様もより一層『愛着が湧いた』と言ってくれたし、こうやって目の前で修繕される様子を見て、昔の人々のモノを大事にする精神性が垣間見えた気がします。
私がチクチクしたラグには、
かおりさんが『チックッチックッチックッチックッ♪』と刺し子してくれました。
紺色の糸がかおりさんがチクチクしてくれた刺し子。
私は生地を張り付けるのに、夢中になって何十分もチクチクしました。
ですが、かおりさんはみんなに見せながら、話しながら、数十秒でチクチクしていて本当にすごかった...
人を魅せることの出来る刺し子。
刺し子さんたちがチクチクしているところをもっと見たくなったし、色々な方に見てもらい気持ちが湧いてきます。
そして、今。
大槌刺し子の刺し子さん達は大忙し。
(※藤井風さんInstagramより引用)
藤井風さんがCDショップ大賞の授賞式でご着用のこちら。
大槌刺し子の刺し子さんたちが刺し子をしてくれています。
(大槌刺し子の刺し子さん達も、藤井風さんがご着用してくれたのを見て、大喜びだったそうです。)
今後発売を予定していて、只今大槌刺し子さんの刺し子さんたちが絶賛刺し子中!楽しみにお待ちいただけますと幸いです。
頭ではわかっていても、実際にやってみると難しいし時間のかかる刺し子。
今回のワークショップで、温もりある手仕事の価値を改めて感じることが出来ました。
ご参加いただいた皆さま、大忙しの中遥々東京まで来て、ワークショップの協力をしてくれた大槌刺し子の皆さま、本当にありがとうございました。楽しかったです。
今回ご参加できなかった方の為にも機会があればまたやりたいと思っています。
最後までありがとうございました。