こんにちは、長谷川です。
2024春夏、今季のテーマは「ハレとケ」。
『コレクションテーマがお祭りに関係しているからさ、コレを羽織って、巾着持って、サンダル履いてお祭り行きたくない?』
こんなアトリエでの何気ない会話から生まれたアイテム。
本日は、KUONチームの何気ない会話の中から生まれた、KUON atelier(KUONアトリエ)のアイテムをご紹介します。
『KUON atelier?』
アイテム紹介に行く前に...『KUON atelier?』って思っている方もるはずです。
ご説明するので安心ください。
KUONは年に2回(春夏、秋冬)コレクションを発表しています。
毎シーズン、テーマやストーリーを洋服に落とし込んで表現しているのがコレクションラインです。
例えば、日本の伝統的な概念である『ハレとケ』に着目した今シーズン。
こちらの半袖シャツは縁日のヨーヨーが頭に浮かぶ、正に『ハレ』なアイテムですよね?
一方、KUON atelierはコレクションラインとは異なるアプローチでKUONの魅力を発信しています。
例えば、
コレクションラインで使用した生地の残布で小物を作ったり、コロナ禍には皆様のお家時間が少しでも華やかになればと、ラグやクッションなども制作しました。そして今回ご紹介するKUON atelierのアイテムは、アトリエでの何気ない会話から生まれた1着。
KUON atelierのアイテムには、KUON atelierのネームが付きます。
ちなみに、ネームの『atelier』の文字はデザイナーの手書きを元に作られました。
KUON atelierについてはこの辺で、本題のアイテム紹介に行きます。
Aizome Noragi
今回ご紹介するのは2種類の藍染め野良着。
昔の人たちが、畑仕事をする際に着用していたのが野良着。
昔は日本人のほとんどが農家でした。
野良着は畑仕事をする際に、着用しやすい・動きやすい・外傷の保護・防虫・直射日光等を防ぐ・汗が蒸れにくい、等々。
畑仕事の機能性を上げるためだけに考え抜かれて簡素化された、日本古来のワークウェアです。
昭和になってから洋服が日本に入ってきたことで、廃れてしまいましたが、昔の人々の知恵が詰まった伝統的な和服です。
実際に着てみると...
確かに野良着ならではの簡素化されたデザイン。
ワークウェアをベースに作られていますが、品を出すためのデザイナーの経験とスキルが詰め込まれています。
野良着本来の広い身幅・風を含みやすいつくり・を残しつつ着丈は短めにスッキリとした作り。
さらに藍染めオックスの光沢が相まって品のあるカーディガンの様です。
もう1つ。
前身頃にキレイなタテジワが入っているのに気が付きましたか?
タテジワが入ることで、のっぺりとならずにゆとりと動きのある、品のある表情に。
ただオーダーサイズののっぺりとした作りだと『The 野良着』って感じになり、野暮ったくなってしまいます。
パターンワークが光っています。
そして、野良着本来の機能である、汗が蒸れにくい・通気性の良さはしっかりと受け継がれています。オールシーズン着用出来るのは嬉しいですね。
ここまで見ていたらカーディガンの様にも見えてきましたが...
衿の立ち方、衿の抜け、ストレスフリーな袖のゆとり。
しっかりと和の要素ある野良着です。
次は藍染め絣の方を着て見ました。
Aizome Kasuri Noragi
シンプルなオックス生地とは異なり、異様な雰囲気を放つ藍染め絣。
それでは、藍染め絣の異様な雰囲気を放っている秘密を探っていきます。
寄ってみると生地に無数の線が引かれています。
この線の様なデザインは、全て藍染の濃淡によるものです。
(↑藍染の窯)
SIGNATUREの藍染めアイテムは、製品の段階で窯に入れて染色するので部分ごとに色ムラはあるものの、ここまで綺麗な線の様な濃淡は生まれません。
一方、Aizome Kasuri Noragiは絣織りという技法で作られてます。
絣織り
(↑藍染め前の生糸)
絣織りとは、糸の段階で糸を藍染めします。
そして、濃淡ついた藍染め糸を織って生地にすることで、藍染め糸の濃淡が線の様に浮かび上がります。
(↑藍染め後の糸)
異様な雰囲気を放っている秘密は、工房の職人さんによる技術と手間ひまが込められているからこそ。
最後にもう1つ。
語りたいことがたくさんあります。
細かいところですが、大きなポケットにはしっかりとスレキで補強をしています。『破けずに長く着て欲しい』という想いと、『モノをたくさん入れても大丈夫だよ。』というデザイナーの気づかいも込められております。
今年の夏祭りは、清涼感のある藍染め野良着を羽織って、巾着を持って、サンダルを履いて遊びに行ってみてはいかがでしょうか?
最後までありがとうございました。
今回ご紹介したアイテムはこちら。