こんにちは、長谷川です。
先日お伝えしたように、2021年の秋冬コレクションのデリバリーがすべて完了しました。このタイミングで今季のアイテムからKUONチームで1番人気のアイテムを紹介します。
まず、このコレクションは今年の1月にNYで2月に東京で、展示会という形式でバイヤー・メディア向けに先行公開されました。そのタイミングで私たちも自分用のオーダーを決めました。そのオーダーの中でKUONチーム12人中7人がオーダー(1人規格外の人がいるので、実際は11分の7)の商品を見つけました。割合にして.583。打率で考えるとエグい数値です。さらにそのうち5人が2色購入と長打率(?)も高く、カープの鈴木誠也選手のようなアイテムです。
一番人気のアイテムとは?
こちらがKUONチーム12人中7人がオーダーしたパンツ。生地にインパクトあるアイテムが多い中、プレーンなパンツが一番人気のアイテムでした。
それでは、人気の理由に迫っていきます。
微調整が繰り返されるKUONの定番スタイル
まずは、型・シルエットの面を探っていきます。
ご存じの方も多いと思いますが、形自体は毎シーズン展開しているベルテッドパンツ。シーズンごとの生地変更に合わせ、マイナーチェンジが繰り返され、どんどん洗練されてきています。
ワンタックを採用したウエストから太もも・膝にかけてはゆとりがあり、膝から裾にかけて緩やかにテーパードしたシルエットは、着用時・動いた際のストレスがないことはもちろん、センタープレスも手伝い、スタイルを美しく見せます。
2,000人以上のデータに基づく丈
そして、美しく見える秘密は『丈』にもあります。
テーラーとして2,000人以上を採寸してきた石橋さんが導き出した『9.5分丈』、これが絶妙なのです。ローカットやボリュームのない靴と合わせるとクロップドのように見え、ボリュームのある靴と合わせた際はノークッションに。何も考えずに『穿くだけ』でスタイルが良く見えます。
もちろん、ウエスト位置を調整すると更に着こなしの幅が広がります。
2021秋冬コレクションのルックでは少しハイウエスト気味に穿き、9分丈のように見せています。青いソックスが効いてますね!
半端に見える丈が苦手な方や足が長い羨ましい体型の方はワンサイズ上げる、そして少し落として腰で穿くこともおすすめです。
ちなみにKUONのオンラインストア上のウェスト寸法は『仕上がり寸法』です。着用者のウエストの寸法ではないので、お気をつけくださいね。
石橋さんは『服は着てもらうためにある』と言いますが、そんなスタンスがしっかり体現されているからこそ定番アイテムになっていて、『着用者自身のスタイルを美しく見せてくれる』これが1つ目の人気の秘密でしょうね。
粗野だけど上品なローデンクロス
続いては生地の方面から人気の秘密を探ります。
今季採用したのは縮絨ウール生地。いわゆるメルトンの1種で、オーストリア・チロル地方(ヨーデルで有名な)の伝統的な毛織物『ローデンクロス』からインスパイアされて開発された生地です。
ピーコートやコーチジャケット風ブルゾンも制作しており、今シーズン、特に本格的に寒くなる時期のキーファブリックです。
ローデンクロスは、アルプスの湿潤で厳しい冬の寒さを凌ぐために強力な縮絨加工(織り上げた生地を意図的に縮めて織密度を上げる)を施し、防風・防寒・防水性能が高められています。ちなみに伝統的なローデンの縮絨率はなんと50%以上だそうです。
グレーの方が光の加減で表情がよくわかりますね。伝統的なローデンのグレー色味に近いです。
元来は狩猟などの目的で使用されることが多い粗野な表情の生地ですが、上質で繊細なSuper100糸で織り上げた生地をゆっくりと縮絨し、表面を一方向に梳きあげた後にプレスすることで美しい光沢と柔らかな肌触りを加えました。
ウール、ローデンクロスが本来持つ、防寒・防水性に、柔らかさ・肌触りの良さを加えたことで、上品な生地に仕上がっています。もちろん、とても丈夫な生地なので、長くお付き合いしていただけます。丈夫とはいえ、いわゆる『膝が出た』状態を防止するために、フロントにはキュプラの裏地をつけています。
カジュアルなアイテムと合わせると、ヴィンテージのハンティングパンツのようなワイルドな雰囲気を醸し出し、ジャケットスタイルの際は厚手のフランネルのスラックスのようなクリーンなイメージに変わります。この生地のもつ『素朴だけど上品』という特徴が定番パンツの魅力を今まで以上に引き出していることが2つ目の人気の秘密でしょう。
洗練された暖パン
そして、穿いてみるとわかりますが、暖かい!『KUON史上最も暖かいパンツ』といっても過言ではないと思います。冬場の暖かいパンツ、穿き心地が良くてクリーンなイメージのものってなかなか見つからないですよね。この点も人気の秘密でしょう。
また、『呼吸する繊維』とも言われるウールは、暖かいが蒸れづらく、万が一汗をかいた場合でも汗臭くなりづらいという嬉しい特徴を備えています。ウール(獣毛)の暖かさの秘密は『繊維が湿気を吸って発熱する』ことにあります。そして、吸収した湿気を水蒸気として放出、その際に体の表面から気化熱を奪うことで熱くなりすぎないように調整します。天然のサーモスタットですね。
いかがだったでしょうか?生地とスタイルからLODEN Belted Tapered Pantsの人気の秘密を探ってみました。すでにサイズ欠けも出始めていますので、気になる方は試着だけでもお済ませください。
個人的にウールはチクチクするイメージが有り苦手でしたが、このパンツは冬場にヘビロテしそうです。
最後もう1点だけ。
KUONのパンツに付くパッチといえば『裂織』ですが、新たな試みとして、こちらには草木染調のムラ染めデニムで作成したパッチが使用されています。裂織も素敵ですが、このデニムの経年変化も楽しみです。
オンラインでのお買い上げはこちらから。
最後までありがとうございました。