こんにちは、長谷川です。
8月14日(土)から、KUON STORE及びKUON ONLINE STOREで関 隼平氏別注泥染めアイテムが発売されました。
発売初日は、KUON STOREにFashion Improver関 隼平さんとKUONデザイナー石橋が在場するという贅沢な1日でした。この機会に関さん、石橋さんに今回の別注泥染めアイテムについて伺いましたので、普段のブログとは違った対談形式でお届けします。
対談内容
1.関 隼平氏別注泥染めアイテム
2.別注に至った経緯(なぜ泥染めなのか?)
3.それぞれのこだわり
4.関 隼平氏の活動について
関 隼平氏 別注泥染めアイテム
長谷川(以下、長):本日はお忙しいところお時間を作っていただきありがとうございます。お聞きしたいことがたくさんありますが、まずは別注アイテム3型のお話をしていただきたいと思います。
関さん(以下、関):よろしくお願いします。まず、キルティングのジャケットはミリタリーのライナーをイメージして作っていただきました。KUONについて、僕は『和』のイメージが強いので、冬の部屋で着る褞袍(どてら)みたいなイメージです。『こたつと褞袍』みたいな感じであったらカッコいいなーと思って…でもやっぱりそれでそのまま外に出たりもしたいという想いもあったり。
関:基本は部屋でくつろいでもうらうときに着てもらうんだけど、外にも着ていけるような、上質で『軽く羽織れる』ジャケットをミリタリーのライナーモチーフにしたら面白いかな~というイメージでつくりました。
長:たしかにドテラだけど、ミリタリーのライナーっぽさありますね。
関:そう。というのがひとつと、ジャケットに使用したその素材に泥染めと刺し子が施されているというスペシャルなものだったので、KUONの『Home Collection』という言い方が正しいのかわからないけど、クッションとマフラーも一緒につくりたいと思って、3型作りました。
長:たしかに。泥染めと刺し子、スペシャルすぎますよね。スペシャルなつくりだけど、マフラーとクッションは比較的買いやすい値段な気がします。
関:そうですね、マフラーとクッションはスぺシャルなアイテムの入り口としてね。どうしてもジャケットが10万を超えてしまうので、みんなにっていうのは難しいと思って。でも生地がホントに素晴らしいのでより多くの人に手に取っていただけたらなって。
長:実物を見ながらお話を聞くと、スペシャルなアイテムたちだというのがすごく伝わります。
2.別注に至った経緯
長:そもそも、関さんとKUONとの出会いはどういうきっかけですか?
石橋(以下、石):2017秋冬シーズンだったかな、KUONが初めてパリで展示会を行ったときに来てくださったのが初めてだったと思います。
関:意外と古いんですよね。
長:そうなんですね。昔からKUONとつながりがあった関さんですが、なぜ今回別注に至ったんですか?
石:今回、関さんと最初にお話をさせていただいたときに、『泥に包まれたい』というところから始まりました。
長:泥に包まれたい??
石:泥の家に住んで、泥に包まれて生活をするイメージ。そんな話をしていて…(笑)
関:そうそう(笑)
石:もちろん、キーアイテムとしてジャケットっていうのはあったんだけど、うちでやってる『Home Collection』や、インラインのマフラー(9月下旬発売予定)などを織り交ぜて、いろんなアイテムを作って、コロナ禍で増えた家にいる時間を楽しんで欲しいと思ってつくりました。
長:関さん、泥に包まれたいってどういうことですか?(笑)
関:あの~、KUONさんから最初にコラボレーションしたいとお話をいただいたときに、KUONさんが様々な職人さんの手仕事を現代的なアイテムに落とし込んでものづくりをしていたのは知っていたので、KUONさんのものづくりの背景のなかで何が1番僕らしいかなって考えました。
色々考えていて、KUONさんがやっている泥染めに興味を持ったというのと、僕が自身でやっている『SH』というブランドでも泥染めのシャツを作ったりしていたので、泥染めに親和性を感じました。
(画像:SH)
長:なるほど。
関:KUONさんはHome Collectionとかもやっているので、泥の部屋を作ってしまおうと思って(笑)。泥の部屋と言っても、泥染めしたアイテムに囲まれた部屋のことで、当時はランチョンマットやコースター、家の染められるもの全部!!布団とか染めたいと思って。
もう、全部染めたら泥の部屋じゃん(笑)。そういう意味の泥の部屋ね。どうせやるなら、とことん泥染めにこだわってやりたい!ってところからさっきの泥に包まれたいって話をさせてもらいました。
長:なるほどー、そういうことっすね。泥の部屋見てみたいです(笑)
それぞれのこだわり
長:関さん、石橋さんお二人ともそろっているので、アイテムのこだわりや裏話などあればお願いします。
石:最初に関さんからいただいたのは、『ふわっと羽織れるもの』と、近くでアイテムを見たときに『なんか凄いことやってるね』って思ってもらえるような『心の高揚感』ていうのかな?その2つのキーワードでした。
そこから、羽織りとミリタリーのライナーを掛け合わせました。ノーカラーでふわっと羽織れる感じで。形・柄・パターン全てにおいて丸みを意識していて、簡易的にも見えるけど、それでいて細部までこだわって作りました。
で、先ずはトワルを制作したんですけど、その時点では前端のところはパイピングにしてありました。スレキを泥染めしてそれでパイピングしようって関さんと話していて、もうこだわるならとことんこだわってしまおうと。
関:そうそう。
石:でも、出来上がったトワルを見ると、前端がパイピングになると生地が厚くなって固くなってしまってたんですよ。最初に話していた『ふわっと羽織れる』というキーワードから離れてしまったなと。
そこで、パイピングをやめて柔らかさが出るつくりに変更しました。なので、前ボタンを留めないで歩くとふわふわと揺れるんですよ、そういったところ(着用したとき、動いたときのこと)は気にして、こだわって作りましたね。
長:アウターだけどふわっとしてるのは、ストレスなく着れますね。今回の泥染めは上品さ漂うグレーじゃないですか?
KUONの泥染めを見てきて、泥染めって『黒に近い濃い茶色』ってイメージを勝手に持ってたんですけど、今回なぜグレーっぽい泥染めにしたんですか?
関:これは石橋さんが提案してくれたんだよね?
石:そうです。KUONの泥染めをお願いしている金井さんが遊びにきてくれたときに『泥染め』というものの定義のところで、『染料を使用して泥を洗うことで鉄分と化合させる工程』のことを『泥染め』って言うんだよねって教えてもらって。
KUONではいつもティーチ木を使って染めてたんだけど、金井さんからいくつか提案された中にコチニールを使って染めたものがあって、それを関さんにお見せしたら、いつもの泥染めと違って面白いんじゃないかって話になり、今回はこのグレーの泥染めにしました。
長:一口に泥染めと言っても、色々あって面白いですね。
関:さっき、キーワードで『高揚感』って話があったんだけど、今の時代って部屋にいる時間が多分みんな増えていると思うんですよ。そうなった時に、はたしてルームウェアってね…やっぱり楽だし便利なんだけど、高揚感がある服、見て楽しめる服、買った服を一人で見てニヤリとするような服の良さってあるじゃないですか?
長:わかります!
関:そういう『所有したくなる服』とか『手放さずにずっと取って置きたくなる服』っていうのはやっぱり、泥染めや手刺し子を施すことによって、手のぬくもりだったり1点ものと言ったらあれですけど、そういう『スペシャルな存在感』を意識しましたね。『高くても良いから特別なものを』っていう考え方です。
長:確かに、金井さんの泥染めと大槌さしこさんの刺し子は手のぬくもりが感じられますよね。
石:刺し子糸も草木染めされた糸だし、ボタンも水牛だし、とことんこだわりました。
関 隼平氏の現在の活動について
長:最後に、関さんの現在の活動について教えてください。
関:僕は今、パリにベースを持ち、パリで自分のセレクトショップ『PARKS Paris』っていうお店をやりながら、日本に来たときは色々なお店・ブランドさんのコンサルティングだったり、ディレクションやセールスのお手伝いなどファッションに関しては多岐にわたっています。
(画像:PARKS Paris)
あと、最近だと『関所印』という動画をベースとした、ショップを作っていくプロジェクトを新しく始めたり、基本的に服にまつわる様々なことをやらせてもらっています。
長:関さんは何故パリに住むことになったんですか?
関:元々パリに住みたいと思っていて、前職のお店を輸出するタイミングでパリのお店を任せてもらうことになったのがきっかけですね。
長:そうなんですね。
関:最後に。自分の名前を使って別注アイテムを作るのは今回が初めてだったので正直どうなるんだろう…って思っていましたが、最終着地としてはめちゃくちゃいいじゃん。と思いましたね。あと、石橋さんが力を入れてやってくれたのは嬉しかったです。
石:僕もほんとに勉強なりましたよ。一緒に話しながら服づくりできて面白かったです。
長:関さん、石橋さんありがとうございました。
初めて対談を文字に起こしたので、読みにくい部分もあるかと思いますが、大目に見ていただけると嬉しいです。
今回の関 隼平氏別注アイテムは受注生産となっており、8月22日(日)までの期間限定受注となります。是非この機会にKUON STOREにお立ち寄りください。
最後までありがとうございました。